イギリスを楽しむ 「ティールームの過ごし方」


イギリスといえば紅茶をイメージする方も多いはず。

確かにイギリス人はたくさん紅茶を飲む。とは思う。

もちろん人によって異なるのが前提だが、町のスーパーに行けばとても安価で紅茶のティーバックが手に入るし、
多くのシーンで出会うことが出来る。

よく問われるのに、リーフティーが正しいとかティーバックしか普通の人は飲まないとか、銀器や高級茶器で
飲まなければならないとか、マグカップでしか庶民は飲まないとか…、諸説語られているが、
答えは全てNOでありYESであり、つまりそれぞれの状況で同じ人であっても様々であるというのが答えである。

日本人は特に外国の文化に、「こうだという答え」を欲しがり、正しいとか間違いを探して形式を重要視するが、
大切なのは英国の場合、その答えが形ではなく、「理由」にあることが多いと知ると良いかも知れない。

例えばイギリスの交差点はラウンドアバウトという信号のない交差点がほとんどだ。小さな村の交差点なら分かるが、
都市のかなりの交通量がある4方向以上に分かれる場所でも、信号がないのだ。

私達日本人にはとても考えられない話に思う。
しかし実際に体験してみると、こんな快適で合理的なシステムはない、と感動する。

自動車は早く移動する為の手段であるのでなるべく止まりたくない。
しかし安全に進行方向へ進める交差点はどうしても必要となる。
そこでこのラウンドアバウトが登場するのだが、右から来る車を自分自身で確認して、
来なければ時速60
km/hでも通過できるし、右から車が来たら一旦停止をすれば良いだけのシステムだ。
だから実際に車を乗り続けて、かなりの時間停車せずに移動できることも多い。

まして莫大な費用の掛かる信号機の設置や工事費、また電気代も掛からずに、
ガソリンや排気ガスの排出も少なくて済み、とても円滑に走行が可能となるのでストレスが少ない。
タイミングは自分の運転能力に応じてスピードをコントロールすれば良いのだ。

日本ではここ20年位前からよく思っていたのだが、余計な信号が多すぎて、
なんでここに信号が出来たのか不思議だし、車も来ないのに無意味に止められ、イライラさせられる事も多い。
走ればすぐ赤、夜中十電灯を点し、走るたびにアクセルをふかす…。
でも赤は止まれ、青は進行だから、規則を破るわけにはゆかず、それが絶対正義なのだ。

では何故、ラウンドアバウトで事故が起こらないのか?

それは、自分自身で絶対に確認しなければならない事、他人を信用する事、相手とのタイミングを計り、
無駄のない動きで操作をし、他人に自分の意思を的確に伝える事、など、
その一瞬の間に、
これだけの責任を果たす自己判断と自己管理つまりは自己責任が伴うというルールの上に成立をしているのだ。

そうしたら、無論、運転中に携帯メールなんてやってられない。それが出来なければあっという間に事故が起こる。
いつでもその緊張の連続なのだ。

ここで見える英国文化とは、つまりいつも答えが赤だからGO、青だからSTOPの様に、
また教科書や誰かにそう教えられたから、という形がそのまま引用できないのだ。

要するに、その瞬間瞬間で様々な答えに対応できる準備を備えておく訓練や経験がものをいうという事になる。
つまりものの見方が、狭い範囲のスポットに焦点を当てるのでは無く、
様々なそれぞれの
要素を総合的に判断できるバランス感覚が大切になる。

しかしこれは日本にも当てはまるのだ。

お茶の話に戻してみよう。

日本人はかつては日本茶を多くの人々が飲んでいた。
品質は様々であっても、朝の起き掛けから、食事の後、お菓子の友として、時に大きな湯呑で、
時にはお客様へ供する為に、普段は使わない茶碗を出して蓋をして、茶卓を敷いておもてなしをしていた。

今日はそういったシーンが減り、コーヒーや紅茶、ウーロン茶などを飲む機会が増えて日本茶のイメージは減ったが、
お茶を飲まなくなったというと、どこでも買えるペットボトル飲料で、逆にもっと身近なものになっているかも知れない。

これもまた茶道だけでは語れない、日本の文化であるお茶の現実である。
そう考えてみれば英国の見方も、気楽に感じて頂けるのではないだろうか?

さてそこで今回のテーマ、ティールームがなぜ登場したかというと、
ここにイギリスのイメージの紅茶を知る一つのポイントがあると考えたからだ。

華々しいホテルのラウンジでのアフタヌーンティーも紅茶だし、家庭の日常のカップティーも紅茶である、
しかし実はイギリスをイメージする紅茶の夢も崩さずに、極上ではないけれど実は豊かで幸せな日常と
ちょっとした喜びを感じられる紅茶時間を満喫できるのが、このティールームでの時間という訳だ。

ティーカウンシルとかギルドにのる、ベストティールームはお菓子の味ではなく、紅茶の扱いや種類に重きを持つ、
つまりリーフティーが供されるが、そうでないティールームも実際は存在する。


紅茶というものにウエイトを傾けると、それはリーフティーが最善だ。
しかし、紅茶という存在は、決して特別な存在ではない。
イギリス人が紅茶を飲むとはどういう意味を持つのか。
そんなことを教えてくれるのが、ティールームでもある。

ぜひカントリーサイドを訪れたら、有名な場所でなくてもいいので、何も先入観を持たずにティールームを訪れてみるといい。

そこで出会った時間そのものが、英国の紅茶の一つの答えをきっと教えてくれるだろう。


2012
630日 小澤桂一



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